2010年

歎くな、愛とは脆弱なモノだ。

PHOENIX 第7回公演。2010年6月23日初演。7月22日追加公演。
<STORY>
気が遠くなるような未来。
遂に人類は宇宙に行くことはなく、この地上に「楽園」を造った。
戦争も国境もない一つの共同体。
樹々や草花が生い茂り、永遠に続きそうな草原、大地。

音楽家であるクラウス・リョウは、歌手のカイリ・ノゾミに楽曲を提供することになる。
巧みにクラウスをそそのかすプロデューサーのジャドウ・ヒロズミ。
この曲は大ヒットを記録するのだが、それは悲劇の始まりでもあった…。

<CAST>
クラウス・リョウ‥‥尾形回帰(HERE)
ジャドウ・ヒロズミ‥‥蛇道広純(ゲビル)
カイリ・ノゾミ‥‥ゆか(黒色すみれ)
ニュースキャスター‥‥岸ジョージ(AFRICAEMO)
ベンジャミン・アレキサンダーIII世‥‥ベンジャミン・ペリー(Xenophobia)
裁判官‥‥宮野大介(HERE)
共同体検察官‥‥武田将幸(HERE)
部下‥‥三橋隼人(HERE)
部下‥‥原琢矢(HERE)
ダンサー‥‥永井慶(Dancer,Choreographer)

<ゲストミュージシャン>
パーカッション‥‥垣内雄太(THE RODS)
ヴァイオリン‥‥さち(黒色すみれ)
ドラム‥‥ピエール中野(凛として時雨)

2009年

SINGING WITH DARKNESS

PHOENIX 第6回公演。2009年7月22日初演。
オペラ座の怪人の若き日をオリジナルストーリーで描く。
<STORY>
舞台は20世紀初頭のフランス、パリ。
第一次世界大戦によって戦争孤児となったルイス少年は、
オペラ座に住み込みで働くうちに、夜毎スポットを浴びる
オペラ歌手に憧れを抱くようになっていた。
同じ境遇にあったジャン・プルーストを、兄のように慕うルイス。
ジャンは早くから歌手としての才能を開花させ、ルイスにも歌のレッスンを施した。
二人は、良き友人であり、師弟であり、時にライバルとなって成長を続ける。
20歳の頃には、ステージに立つようになり、
二人の若きテノール歌手の噂は、瞬く間にパリに広がっていった。

やがて、彼らに千載一遇のチャンスが訪れる。
オペラ「PHOENIX」の主役の座であった。

しかし出演できるのはどちらか一人のみ。
支配人のボーガットは言う。
「今夜の公演で最も観客を沸かしたほうにこの役を与えよう。」

ルイスとジャンと目を合わせた。
どちらも、このチャンスを逃したくないと思っていた。

2008年

MOON CHILD

PHOENIX 第5回公演。2008年12月23日初演。
<STORY>
若葉が芽生え、エメラルドグリーンが鮮やかに燃え上がり、
太陽から降り注ぐ直線的な日差しが、あらゆる物に光と影を与えていた。

僕の名前は、レイ=ラモンターニュ。
今年の四月から施設の中にあるハイスクールに通うようになった。
僕たちは物心がついた時からこの施設「Wings Of Phoenix」の中で育った。

施設は周囲を灰色の大きな壁で取り囲まれていて、ここから外には
出られないようになっている。
壁は10メートル以上もあり、這い上がるのは到底無理。
実は僕たちはこの施設の外には一歩も出たことがないんだ。

しかし、不満に思ったことは一度もない。勉強、クラブ活動、友情、そして恋。
ここでの生活は充実し、幸福に溢れていたんだ。

ブラザーズ ~兄弟の地平~

PHOENIX SIDE STORY。2008年11月30日初演。
<STORY>
1970年。コロラド州の田舎町。子供に恵まれなかった農場の老夫婦が
病院に捨てられた二人の男の子を養子として迎えた。
夫婦は二人にジョーイ、トムと名づけると惜しみのない愛情を注ぐ。
好きなテレビ番組、好きな本、好きな音楽。
全てが同じ仲良しの兄弟は、すくすくと育っていった。
唯一違っていたのは、兄のジョーイは白人、弟のトムは黒人、肌の色だけであった。

PAINT IT BLACK ~ある画家の生涯~

PHOENIX 第4回公演。2008年10月26日初演。
画家ゴーギャンをモデルにストーンズの名曲カバーで送る異色作。
<STORY>
株のトレーダーとして経済界で名を馳せたチャールズ・
ストリックランドは、偶然出会った一枚の絵に魅了され、
それまでの全てを捨てて、絵画の世界に踏み込んだ。
志を同じくする親友ヴィセントと共同生活を試みるも破綻。
パリで開催した個展も散々たる結果に終わる。
失意と困窮に打ち砕かれたストリックランドは、
一人楽園をもとめて、太平洋に浮かぶ南の島タヒチに渡る。
しかし、タヒチはもはや至福の地ではなかった…。
『われわれはどこから来たのか われわれは何者か われわれはどこへ行くのか』
ストリックランドは何かに取り憑かれたように絵筆を取る。

TAX AND THE CITY ~長距離走者の孤独~

PHOENIX SIDE STORY。2008年9月10日初演。
<STORY>
1500種類もの税金が課せられた未来の街「TAX CITY」。
税金が払えなくなった人間のために、政府は「TAX SHOES」を開発した。
万歩計のように、走った歩数がカウントされ、未納分に換算されるのだ。
アランは税金を払うため、長距離走者となってひたすら走り続けていた。
走りながら、彼の頭の中には、世の中の様々な事件・矛盾・疑問が駆け巡る。
そんな彼の寡黙な走りを見て、国税庁の男が声をかけてきた。
やがてアランは、納税の広告塔として、TAX CITYマラソンに出場することになる。

真夏の夜のハムレット

PHOENIX 第3回公演。2008年8月23日初演。
HEREがシェイクスピアに挑戦した初期意欲作。
<STORY>
人気絶頂のロックスター、ジョナサン=ジョースターは、
コンサートの最中に謎の電流を身体に受け、
中世のデンマーク王国にタイムリープしてしまう。
彼は王子、ハムレットとなっていたのだ。
ハムレットの父王はすでにこの世になく、
後を継いだクローディアス王が独裁体制を敷いていた。
圧政と重税に苦しむ貧しい国民の有様を目の当たりにしながらも、
何もできない自分の無力さに、ジョナサンは愕然とする。
失意の彼は命を絶つ覚悟で森を彷徨う。
そこに、けたたましい太鼓の音が鳴り響いた。
妖精王オーベロンと人外の仲間達が宴に酔いしれていたのだ。
オーベロンはジョナサンの歌声に興味を抱き、彼を宴に招き入れた。

ROCK STAR

PHOENIX SIDE STORY。2008年8月2日初演。
<STORY>
俺にはパパはいない。ママも蒸発してしまった。
ロックンロールが親代わり。俺に生き方を教えてくれたんだ。
ロック歌手のジョナサン=ジョースターに憧れてバンドで歌った。
そして俺もチャンスをつかみ、ロックスターとして成功を果たしたんだ!
しかし、俺とは正反対に、憧れのロック歌手ジョナサンは、
ヒットチャートから転落し、アルコールの世界に引きずり込まれていった。
俺は、落ちぶれてしまったジョナサンを救いたいという気持ちから、
彼のヒット曲「PHOENIX」をステージで歌い続けたんだ。

NO NUKES MORE HEARTS

PHOENIX SIDE STORY。2008年7月5日初演。
<STORY>
ナイトクラブPHOENIXで、4人の若い学者が時空を超えてテーブルを囲む。
ノーベル、エジソン、アインシュタイン、エンリコ=フェルミ。
いずれも後の歴史に名を残し、天才と賛美される男たちであった。
ダイナマイトから核エネルギーまで、討論は多岐にわたり、
彼らの夢と熱意は、店内の喝采を集めた。
その一方で、店内の狂騒から取り残された科学者崩れの男がいた。
天才たちの話に羨望と畏敬はあるものの、どこかに違和感を感じていた。

ラストダンスは私に

PHOENIX SIDE STORY。2008年6月28日初演。
<STORY>
昭和63年、東京町田市郊外の静かな一軒家に老人はいた。
そこへ迷子の少女が現れる。
くったくのない少女の話相手をするうちに、老人は若き日の自分を思い出す。
昭和15年、青年の名は前田士郎。
英国の海外留学を経た彼は、完璧なダンディズムを身につけ帰国していた。
やがてダンスホールPHOENIXで晶子と運命の出会いを果たす。
しかし、既に日本は、太平洋戦争という、引き返すことのできない哀れなレールの上にいた。

鳳凰伝 ~北京燃ゆ~

PHOENIX 第2回公演。2008年6月13日初演。
『さらば、わが愛/覇王別姫』(陳凱歌)へのオマージュ作品
21世紀になりますます激動する中国が裏テーマとなっている。
<STORY>
1960年。中華人民共和国、首都北京。
二人の京劇役者が絶大な人気を誇っていた。
美貌の女形ション・テイエイと、巨漢の男役トァン・シャオロウである。
テイエイは、兄弟子シャオロウに、密かに恋心を抱いていた。
しかし、文化大革命により、京劇役者たちは次々と弾圧されてしまう。
暴徒と化した北京市民、武装した紅衛兵が劇場を取り囲む中、
覚悟を決めたテイエイとシャオロウは、禁断の演目「鳳凰伝」の上演に挑む!

ふたご座 カストールとポルックス

PHOENIX SIDE STORY。2008年5月23日初演。
<STORY>
ナイトクラブ「PHOENIX」に双子の客が現れた。
頭脳明晰の兄カストールと、強靭な肉体をもつ弟ポルックスである。
実は、双子の本当の年齢は11歳。密航者であった。
しかし、PHOENIXの入り口をくぐった途端、
二人の体は突然大人になってしまったのだ。
仲の良いはずの二人は、やがて一人の女性を巡って争いを始める。

源氏物語より 葵上

PHOENIX SIDE STORY。2008年4月16日初演。
<STORY>
ナイトクラブ「PHOENIX」は運命の女神に惑わされた最も派手な夜となった。
シーラカンス、原宿ゴールドラッシュ、聖火、ギャルソンパブ、黒鳥の湖…。
PHOENIXの翼に抱かれて、俺たちの理性が真っ逆さまに落ちはじめた頃、
その男と女は入ってきた。ふたりは快楽をむさぼりつくていた。
女が男にささやいた。「他の女の手に渡るくらいなら、その女を呪い殺す。」
やがて、男の耳に、自分が思い通りに扱ってきた女の歌声がつんざくように響き渡る。
もはや夢か現実か判らない…。

ナイトクラブ PHOENIX

PHOENIX 第1回公演。2008年4月5日初演。
<STORY>
時は、21世紀初頭、東京。
新宿に突如「PHOENIX」という名のナイトクラブが現れた。
ここでは、音楽を演奏するバンド「HERE」のメンバーたちと、
様々な社会的立場の客たちによる悲喜こもごもが交わされる。

PHOENIX

HEREの劇中において共通して登場する、時間・空間・人智を超えた存在。
ナイトクラブ、劇場、絵画、音楽など、有形無形を問わず化身する。
フェニックスとはギリシャ神話の不死鳥を指すのが一般的だが、
ベンヌ(エジプト)、フマ(ペルシア)、ジャール=プチーツァ(ロシア)、
鳳凰(中国)など、様々な神話や遺跡に姿を残すのが興味深い。
多くの場合は、その体を炎に包み、死してもなお灰の中より甦ると伝承される。

PAGETOP